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『ジムノぺディー』

どんより曇った冬の日。

海辺の小さな港町に、黄色いワゴン車が辿り着いた。
国道沿いの暗い灰色の景色に、ひときわ黄色い色が目立つ。

キー、キーッとカモメが近くまで飛来しては、また離れていく。
雨上がりの灰色の町。

港近くのパブに、車を降りたブルーのコートの若い女が立ち寄る。
この灰色の景色にうんざりしていた町の男たちは色めき立った。

(おい、見ろよ。この町にゃあ、いないようないい女だぜ。)
(都会の匂い、プンプンさせてるなぁ。)

コートの襟をピンと立てて、女はカウンターに座り
「CC・コークをちょうだい。」
低い声で言った。

カウンター越しに若い男がそっと声をかける。
「あんた、この町二度目だよね。」

「そうだったかしら。」
「ああ。よく覚えてるよ。いい女は忘れないんだ。確か、ケイのブティックのショーウィンドウに・・・」
「しっ!」
女はしなやかな人差し指を形のいい唇にあてて、男にウィンクした。

「一度ここを通ったことがあって、ちょっと寄ってみただけよ。また別の町のウィンドウに出かけるのよ。」
女はささやくように言った。

「ケイのブティックでね、サティが流れていたの。この灰色の町にぴったりの曲だった。
じっとポーズをとって海を見つめながら一日中サティを聴いてたの。
こんな薄寒い冬の日は思い出すのよ。あのメロディ。そう、今日のような日にはぴったりだわ。」

男が言った。
「あのとき着ていたモスグリーンのコートを脱がせたのはオレだよ。あんたにはモスグリーンより淡いブルーのほうが似合うと思ってさ。」

きれいに塗られたマニキュアの指で、クリーム色のスカーフを取り出して女が言った。
「あの冬の日、寒いだろうって私の首にこれを巻いてくれたのはあなた?」
「ああ。」
「そう。お礼を言わなくちゃね。ありがとう。でももうそろそろ行かなくちゃ。」
「送るよ。あのワゴン車だろ?あのときと同じ車だ。」

男たちの視線を浴びながら、女は若い男にエスコートされながら店を出た。

黄色いワゴン車の運転席で太った運転手が眠りこけていた。

「気をつけていきな。あんた、いい女だから、またケイのブティックに呼ばれるかもしれないぜ。」
「そのときには、すぐにあなただとわかるようにこのスカーフを持っていて。」
女は男にクリーム色のスカーフを渡した。
「わかった。さぁ、このオヤジが目を覚まさないうちに早く乗りな。」

男はゆっくり黄色いワゴン車のドアを開けて女を車に乗せた。

バタンとドアが閉まった。
ウィンドウからのぞくと、他の女たちと一緒のブルーのコートが見えた。
「あんたが一番いい女だぜ。」
男がつぶやいた。

やがて運転手が仮眠から目覚め、エンジン音を響かせて黄色いワゴン車が走り去る。
バックドアに染め抜かれた文字は、「バーンズ マネキン商会」




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ありがとうございました
















| - | 23:55 | comments(5) | - | |
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| - | 23:55 | - | - | |

KUKUKUKU KUKUKUKUKU
クククク クック クック
笑いが止まりましぇん!
読み手まで最後にきて騙された!!
マネキンじゃん! (笑)))))

そういえば・・・はるか昔、おれもバイトで
いい女を深夜トラックからデパートまで担いで服を脱がせたり着せたりしたことがあった
スタイル抜群のリアルなマネキンだった
人形とはいえ、可愛くて情が移りそうで怖くなったっけ(笑)
懐かしいなぁ〜

しかし、PEARさん?よくそんな物語を思いつくもんだね?
変なひと・・・
面白かったよ!ありがとう!
| SEVEN STAR | 2008/01/14 6:45 AM |

こんにちは!
ただいま個人的にブログ応援活動してます。
応援ポチッ!
| スミサーズ | 2008/01/14 6:44 PM |

SEVEN STARさん、スミサーズさん

応援ポチありがとうございます。
マネキンの運び屋ですか・・・。
面白そうですね。
| PEAR | 2008/01/15 2:56 PM |

小説の内容とは違うけど、ジムノペディの曲を聴くと、夜のパリの石畳の道を黒いマントと黒い帽子をかぶって、ステッキを持ちながら、歩いている男の人を思い浮かべる。
空想癖?がある私は、曲を聴くと、その情景が頭の中で、浮かんでくるのです。ちょっと変かな?皆さんもそんな経験ありませんか?
| a-ko | 2008/01/15 3:22 PM |

その時の状態や心情で聴く曲の風景も変わってきたりしますよね
ジムノぺディって変わったタイトルだなぁと思っていたら曲名だったんだ
サティ?の曲でしょうね、きっと
a-koさん、ありがとう
| ネイリスト☆ | 2008/01/17 1:49 AM |












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