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第21回琉球新報児童文学賞  『ステラ』 (3)

ゆみた1.jpg
Photo by 由美太っ♪

そろそろ暗くなるころ、やっとお母さんが帰ってきた。


 昼前から少し調子の悪かったおばあちゃんの熱が急に上がり、救急病院で念のために検査入院をすることになったのだそうだ。
 これまで大きな病気などしたことのないおばあちゃんが、入院などいやだとだだをこねて大変だったと、お母さんが笑って言った。


 お母さんの話を聞いて少し安心したけれど、入院なんかしたことのないおばあちゃんがひとりぼっちで白い病室で寝ているのかと思うと、あづさは胸がしめつけられるような気持ちになった。


 「おばあちゃん、ひとりでさびしいよね、きっと。」


 夕ご飯のあと、いつもおばあちゃんと過ごす時間にあづさがぼそりと言った。おばあちゃんがいない夜に、一番さびしい思いをしていたのはあづさだったのかもしれない。


 「だいじょうぶよ。検査がすめば、おばあちゃん、明日には帰ってくるわよ。」

 


 でも、それからおばあちゃんは一週間たっても退院できなかった。


 検査のけっか、熱を下げるためにしばらく点滴を受けなくちゃならなくなったのだ。


 学校から帰っても、おばあちゃんのいない家はつまらなかった。お母さんが毎日病院に通うようになったので、あづさにはじめて鍵がわたされた。あんなにほしかった鍵だったのに、ちっともうれしくなかった。


 いつもおうちに帰りを待ってくれている人がいるのって、幸せなことだったんだ。


 なにかが起こらないとわからないことってあるんだね、おばあちゃん。


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 二週間ほどして、やっとおばあちゃんが退院できることになった。



 その日。学校からの帰り道。
 
 あづさの足取りがいつもよりもどかしい。早く早く、帰らなくちゃ。いつものアスレチック公園を一気にかけぬけて、ちゃんと左右を見分けてから道をわたり、

 
「ただいま〜!おばあちゃん!」


 と玄関に転げこんだ。
 鍵は開いていた。うれしかった。


 「おかえり、あづさ。おやおや、そんなに息を切らして〜。」


 「ただいま!おばあちゃん・・・。」


 あれ?おかしいな。おばあちゃんが帰ってきてとってもうれしいはずなのに、なんだか涙でおばあちゃんの顔がにじんでしまう。

 あづさはおばあちゃんに見られないように横をむいて、ごしごし目をこすった。

 うれしくても涙が出ることってあるんだね。

 おかえりなさい、おばあちゃん。






| 『ステラ』 琉球新報児童文学賞受賞作品 | 00:01 | comments(8) | - | |
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PEARさん、おはようございます。

「ステラ」やっぱり心があったくなる素敵な作品ですねぇ。
以前読んだ時のほんわかあったい気持ちになれて、またこの作品を読む機会を作ってくれて、嬉しく思います。
ありがとうございます。

あづさちゃんとおばあちゃんのような、素敵な繋がりが、この世の中にもっともっと増えますように・・・

続き楽しみにしてますね。

続きも楽しみにしてます。
| koma | 2010/06/25 7:38 AM |

komaちゃん

おはようございます
いつもほんとにありがとうございます

読んでくださる方がいてほんとにうれしい

しばらくここに作品を載っけるのをやめていたけれど、ぼちぼち新しい作品も載せていこうかなぁ

| PEAR | 2010/06/25 8:47 AM |

望まない変化に人間て戸惑ってしまうんですよね。
これは大人になっても同じですよね。
| まつぼっくり | 2010/06/25 5:56 PM |

あづさちゃんの気持ち、なんとなくわかります。
自分にとってはずいぶん昔のことになりますが・・・。

2枚目の紫の花の写真が素敵です。
| ロング | 2010/06/25 6:24 PM |

読んでいてあづさちゃんの気持ちになりきれるような作品ですね。
ランドセルのなかで物ががたがたいう音や背中に響く振動まで思い出せる気がしました。
子ども扱いしないでほしいって思ってるのに変わるのって怖いですよね。
お家に帰っているはずのお母さんがいないときの気持ちとか・・忘れてた子供の気持ち思い出しました。
| ヘレンケラー | 2010/06/25 7:48 PM |

まつぼっくりさん

ある距離からずっと先のことが突然目の前に現れたり、
それが予想もしなかったことだったりすると
戸惑ってしまいますね
| PEAR | 2010/06/25 9:42 PM |

ロングさん

読んでくださって、ありがとうございます
物語とピッタリの写真、お借りして展開してます

等身大のあづさは誰の心にもいるんですね
| PEAR | 2010/06/25 9:44 PM |

ヘレンケラーさん

ありがとうございます
あづっさとおばあちゃんの物語、もう少しお付き合いくださいね
| PEAR | 2010/06/25 9:47 PM |












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