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第21回琉球新報児童文学賞  『ステラ』 (6)

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Photo by 由美太っ♪


 季節はまたたくまに過ぎていった。

おばあちゃんがあづさたち家族のもとから旅立ってからあっというまに一年がたち、また冬がきて、おばあちゃんのいない二回目のお正月が過ぎようとしていた。


 縁側でおばあちゃんとレモングラスのお茶を飲んだのがついきのうのことのようだ。

 
 「おばあちゃん、わたし、この春から中学生になるんだよ。背だってずいぶん伸びたよ。」


 あづさはおばあちゃんがいつも中庭をながめながらすわっていた場所にごろんとあおむけになり、天井を見上げながらつぶやいた。

 
 「もうお正月もきょうで終わりだねぇ。えーっと、なんだっけ、春の七草。」

 
 「せり、なずな、すずな、すずしろ、それから・・・・はこべら。ごぎょう、ほとけのざ。もう覚えちゃったなぁ。」


 天井にむかって手を伸ばして指折り数えながら、ずっとむかしまだあづさがもっと小さいころ、おばあちゃんが教えてくれた七草の名前を数え上げる。

 
 そのとき、中庭からすーっとやわらかい日差しが差しこみ、あづさをつつみこんだ。耳のそばでおばあちゃんの声が聞こえたような気がした。


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 『この草はね、ステラとも言うのよ。ほら、お花が小さなお星様みたいでしょう。』


 『ほんとだ。かわいいね、おばあちゃん。』


 『あづさ、いつかおばあちゃんがお星様になったらね・・・・。』


 突然あづさは起き上がり、おばあちゃんの言葉を追った。ドキドキしていた。まだずっと小さかったころのあづさとおばあちゃん。




 中庭から差しこむ光は、やわらかいおばあちゃんの笑顔のようだ。
 
 あづさはおばあちゃんと顔を見合せて笑った縁側から、急いで中庭にかけおりた。


 「ステラ、ステラ、ステラリア。あれはたしか、はこべらよね、おばあちゃん。」


 『そうよ、あづさ。覚えておいてね。いつかおばあちゃんがお星様になったときにね。この場所を思い出してね。』


 (おにさんこちら、手の鳴るほうへ・・)


 中庭のかたすみでおばあちゃんがやさしく笑って、おいでおいでをしているようだ。

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 ステラ。それは小さな小さな白い花。


 あづさの指がその花びらに触れたとき、小さなステラは突然きらきらと星のようにかがやき、ゆっくりと中庭いっぱいに舞った。


 「おばあちゃんだ・・・・。」


 その場所でステラとともにおばあちゃんはあづさを待っていた。
 
 あづさの心がやっとおばあちゃんにたどりついたとき、あづさはおばあちゃんのやさしい想いでいっぱいに満たされた。


 おばあちゃんがあづさに語りかける声がはっきり聞こえた。

 


 『あづさ、おばあちゃんはここにいるよ。』

 


 一月七日。きょうは七草の日。



       
               完

                                          
                       なぐも ゆき

 

 

 

 

 

 

 

 


 





| 『ステラ』 琉球新報児童文学賞受賞作品 | 00:10 | comments(14) | - | |
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| - | 00:10 | - | - | |

PEARさん、おはようございます。

いい作品は、二度も三度も読みたくなるように「ステラ」は二度読んでも、やっぱり、心がジーンとする素敵な作品でした。
ありがとうございます。

PEARさんの作品をもっともっと読みたいです。
これからも、PEARさんの素敵な感性で、作品作り続けていって下さいね。
| koma | 2010/06/28 7:13 AM |

ステラという、アメリカの美術家?画家?がいませんでしたか?

はこべらのことをステラとううのですか?
知らんかった。
| 鷲谷芝嵐 | 2010/06/28 8:16 AM |

素敵な作品に出会わせてくださってありがとうございます。
おばあちゃんのサプライズは一生あづさを包みますね。

流れて行き、限られた時間の中で人はどうして
それでも生きるのだろうと思ったこともありましたが
こうして気持ちというのは手渡していけるのですね。
由美太さんの写真とも素敵に溶けていますね。
| トムファミの"N" | 2010/06/28 9:20 AM |

ステラ

素敵な響きです。

結末はキラキラ輝いています。

私の中にもいつも亡くなった祖母や叔母が生きています。
| kokeobasan | 2010/06/28 7:27 PM |

なんだかとっても美しい清々しい気持ちになりました。
心が浄化されたような気分です。
この読後感はとても不思議です。
| まつぼっくり | 2010/06/28 9:45 PM |

komaちゃん

いつもありがとうございます♪
一年ぶりの「ステラ」でしたね

これからも自分らしく表現していきたいと思います

| PEAR | 2010/06/28 11:35 PM |

鷲谷芝嵐さん

はこべらの小さな花がちょうど星のカタチをしているところから
ステラ(星)と名づけられたようです
| PEAR | 2010/06/28 11:50 PM |

Nさん

あづさとおばあちゃんの物語読んでくださってありがとうございました

目には見えないけれど、たくさんのものを受け取っている、この生を大事にしたいですね
| PEAR | 2010/06/29 12:00 AM |

kokeobasanさま

自分の中に愛する人々から大切なものを
受け継いでいると思うと、この自分の人生大事にしたいと思います

「ステラ」読んでくださってありがとうございました
| PEAR | 2010/06/29 12:06 AM |

まつぼっくりさん

きっとなにかの縁で触れあった人生です

温かかったおばあちゃんのぬくもり
包まれるように過ごしたあづさの時間

少しでも感じていただけたらとてもうれしいです
| PEAR | 2010/06/29 12:15 AM |

初めまして♪kaze0323さんから教えてもらって「ステラ」読んでみました。
読んでとても感動しました☆とてもいい作品ですね!
久しぶりにおばあちゃんの事を思い出しました。昔、よくいろいろな事を教えてもらっていた事が昨日の事のようにあふれてきます。
これからも人を感動させる作品をたくさん作ってください。応援しています☆
| yasumami | 2010/06/30 6:27 PM |

yasumamiさん

「ステラ」読んでくださってありがとうございます
私は祖父母を知りませんが、おばあちゃんとの思い出のある方が羨ましいです
温かいコメント、とってもうれしいです
ありがとうございます
| PEAR | 2010/06/30 10:48 PM |

「ステラ」やっと読みました。
読みながら、もう「2」あたりから、喉の奥がずっとつんつんしてました。
家族。
祖母が孫を。親が子を。思う気持ちっていうのは、本当にかけがえがない。
世界中の人が幸せな気持ちでいられますように……。
そんな気持ちになりました。
| けさく | 2010/07/13 3:19 PM |

けさくさん

「ステラ」読んでくださってありがとうございます

この作品は短時間で書き上げたものですが、私にとって、とても大切な作品です
たくさんの方に読んでいただけるとうれしいなぁと思います

本当にありがとうございました
| PEAR | 2010/07/14 12:49 AM |












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