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オキナワン タイクーン3 「夏の足跡」 vol.1

      
          「夏の足跡」 vol.1



「ジジ、コーヒー飲まない? どこ〜? 」

隣のケーキ屋、オランジュのアイちゃんがじいさんを呼んだ。

アンティーク&よろずなんでも引き受け屋オキナワン・タイクーンの従業員、ジジこと桜のじいさんが顔を出した。

「ほい、ここじゃよ。」

店の裏手にある倉庫につながる扉からじいさんが現れた。麦わら帽子をかぶっている。

「よく似合ってるじゃん、それ。」

「これ? 日差しが強いからとオーリーが用意してくれたんじゃ。」

「日焼けは美容の大敵、頭皮の大敵だもんね。ところで裏でなにしてたの? なにか探し物してたの? 」

じいさんはコーヒーをすすりながら、

「いや、セメントがないかと思ってのぅ。」

「セメント?なにするの? 」

「うん。裏の倉庫の入り口、段差があるじゃろ。ありゃあ、荷物を運ぶ時に不便じゃなぁと思って。コンクリートで傾斜をつけてやろうかと思ってさ〜。それにわし、足跡付けずに上手にセメント流せるし。」

「そりゃあね、ジジにかかれば足跡なしなんてちょちょいのちょい、だよね。」

片目をつぶってアイちゃんが言った。

 

じいさんには店主のオーリーとアイちゃんしか知らないシークレットがあった。

実はこの桜のじいさん、春の雨の夜に迷い込んで帰り道を忘れ、どう手をつくしてもわからず、元いた場所に戻れなくなってしまったのだった。
 ひょんなことからこの店の風変わりな英国人店主が、不在の時の留守番兼セキュリティー担当としてじいさんを住み込みとして採用し、このちょっと変わった名前の店に住みついていた。
 そして、時にはよろずなんでも引き受け屋の調査員としてオーリーの手伝いだってする、スーパー従業員となったわけだ。じいさん、ちょっとまだ秘密がありそうだね。

 

さて、翌日もじいさんは照りつける日差しの中、用心深くセメントと水と砂を混ぜ合わせたモルタルを流し込む作業をしていた。

「じいさん、どう? アイちゃんが記念に三人で手型取ろうって。」

オーリーが声をかけたちょうどその時、表のほうから現れたアイちゃんにじいさんが困ったような顔で言った。

「アイちゃん、わし、ご存知のようにこういう身の上じゃから、ダメなんじゃよ。」

「ダメって、なにが? 」

つまりこういうことだ。

普段の生活の中で二人はつい忘れがちだったが、じいさんは実体のない存在である。

(え?実態がない?てことは・・)

そう、食べたり飲んだりはおろか、何かに触れたり痕跡を残したりすら本当はできないのだ。アイちゃんが運んでくるコーヒーを飲んだりモルタルを流したりするのはじいさんの個人的能力であり、ここで暮らすうえで必要な限り二人とのバランスを保ちたいと考えていたのだ。
 (え?それって・・・、え?え?)
 不思議だよねぇ。でもまぁ、お話をすすめようか。

 オーリーが言った。

「そうか、そうだったね。うっかりそれを忘れていたよ。今回はあきらめるしかないかな、アイちゃん。」 

「わし、仲間に入りたいんじゃがな〜。モルタルは放っておくと固まってしまうしな〜。」

じいさんがうらめしそうに言った。

ちょっと考え込んでいたアイちゃんが、なにか思いついたような顔で言った。

「ジジ! 長靴、長靴! こないだの山ではいたでしょ? ジジはあの長靴をはけばいいのよ。そうすれば三人の足型が取れるわ! 」

名案だった。それにあの黄色い長靴は、じいさんがこの店の調査員として出かけるときのトレードマークでもある。

まず、じいさんの長靴を中心に位置を決めた。それを囲むようにオーリーとアイちゃんの足型が連なった。重さを持たないじいさんの代わりにオーリーが長靴に手を入れぐっと重しをつけ、三人の足跡が仲良く並んだ。

「テレビでハリウッドスターの手型を見るたびに、いつかこんなふうに取ってみたかったんだ。ハリポタの三人のもあるんだよ。うちのはもっとすごいね。世界にたったひとつ、足のないジジの足型も取れたよ! 」
 しーっ!それはまだシークレット。

「アイちゃん。わし、とりあえずホレ、一応足はついておる。」

「うふふ、見かけだけは、でしょ。」

かくしてオキナワン・タイクーンの倉庫前に、サイン入りの三人の思い出が刻まれた。

じいさんを真ん中にして、不思議な縁で出会った三人の足型がニコニコ笑って並んでいる。




| - | 11:21 | comments(6) | - | |
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これ続くよね。

続きが楽しみです。

サクラ待ちの富山県ですよ。
皆さんのところのサクラを楽しんでいます。
| kokeobasan | 2013/03/25 1:44 PM |

kokeさま

はーい!続きますよ〜
しばらくストーリーを載せていなかったので、久し振りに短編載っけてみました
「okinawan tycoon」というシリーズ中の3シリーズのお話です
よろしければ読んでみてくださいね〜
| PEAR | 2013/03/25 2:23 PM |

わ〜い!嬉しい♪
久々の短編小説ですね。
続きが楽しみ〜!

読みながら情景が浮かんできて、ワクワクしてきました^^
| koma | 2013/03/25 8:58 PM |

komaちゃん

ありがとう〜
そうなんですよね(⌒-⌒; )
しばらく載っけてなかったもんね
ぼちぼちいきますので、読んでいただけたら嬉しいですー
| PEAR | 2013/03/25 9:11 PM |

久しぶりのショートストーリー。

PEARさんワールド、楽しみに
浸らせていただきますね。 (*^_^*)
| トム子ブログのN | 2013/03/25 10:54 PM |

Nさん

そうですね、ほんとに久々に短編を載せることにしました。
ぼいぼちですので、お時間あれば読んでいただければウレシイデス。
| PEAR | 2013/03/25 11:30 PM |












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